産業集積論の今日的課題として指摘されている「地域における企業レベルの「多種、多様な業種構成と多機能」を備えた新しい生産ネットワーク(=「新しい産業集積」)を構築しようとする戦略」(林[2003])に踏み込む指摘は少ない。この課題の一端を明らかにするために、産業集積論における先行研究の到達点と課題を踏まえたうえで、繊維工業に位置づけられている米沢市の中小企業を対象に、「顧客の多様化とフロントエンドの機能」(野田[2005])の視点から再検討することで、取り組むべき経営戦略の方向性について論じている。