新たな社会的自己の可能性に向けて「踊る身体」を投企(project)すること、その過程を撮影し投影(project)しながら自己を再帰的にモニタリングしてつくりかえていくという「プロジェクション」の二重の意味を込めて、《Dance&Self:身体の再帰的プロジェクション》と題したワークショップ形式のプロジェクトを2021年11月より進めてきた。 本プロジェクトでは、慶應義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程の鈴木絵美子さんをラテンダンスの講師としてスタジオに招き、千葉商科大学政策情報学部後藤一樹ゼミナールの学生たち(塚本愛実・後藤優希・増田渚・大井一優・岡澤椋祐を中心としたメンバー、本格的なダンスの未経験者)が彼女とともにダンスを踊る内容のワークショップを、2022年7月までに計11回実施した。 ダンスは、(1)言語によって構造化される主体のあり方とは異なる、身体的・音楽的コミュニケーションを通した(非言語的ディスクールの)実践の一形式であり、また、本ワークショップで取り組んだラテンダンスは、(2)日本社会とは別の文化的・歴史的実践の蓄積から生み出された身体的型であるため、従来の社会的文脈において規律・訓練(discipline)されてきた踊り手(学生)の身体性を大幅に書き換える可能性がある。 踊る実践を通して、踊り手の自己はいかに変容し、それと同時に、彼女・彼らの身体を既定している社会規範やジェンダー規範はいかにして逆照射されるのか。