本稿は,第一論説,第二論説,第三論説の検討を受け,現実の制約を踏まえて,どのように本学の共通入門科目として実装すべきなのか,実装に際しての前提条件,具体的な講義計画,他の講義等との関係について検討する。前提条件については,学生,施設,教員の三点から検討し,36人からなるクラスを設け,6人ずつの6グループでピアラーニングを行うことが適当であると示す。一学年につき42~43クラスとなり,一人の教員が二つのクラスを担当すれば,教員は21~22人を必要とすることになり,教室の確保も可能である。講義計画については,時間,教員と学生の関係,学生のモチベーションの三点から検討し,第三論説で提案したプログラムを実施することは可能であり,担当教員と学生の間でファシリテーターと参加者という関係をつくりつつ,高大接続と職業的レリバンスを考慮して学生のモチベーションを高められることを明らかにする。丁寧な講義計画のデザインと十分な講義準備を行えば,効果の高い共通入門科目を実施できる。他の講義等との関係については,学生の履修,学生への課題,教員への影響の三点から検討し,大学全体での調整を丁寧に行えば,共通入門科目が大学全体の教育の質を高めることになることを示す。カギとなるのは,技法に関する「学修を助けるための共通的ガイドライン」の整備にある。また,共通入門科目は,本学のアクティブラーニングの質を継続的に高めるなど,本学にとって大きな可能性を有している。