本稿は，リーディング，シンキング，ライティング，ピアラーニングの4技法を修得するためのプログラムを検討する。第二論説で十分に検討できなかったピアラーニングについて検討した後，プログラムについて，導入（ステップ1），基礎（ステップ2），発展（ステップ3）の三段階で検討する。ピアラーニングは，新しい概念の教養教育で育成が求められる能力であることに加え，それ自体が有効な学習方法である。ピアラーニングは，単独で身につけることは不可能でないが，他の技法を身につける学習手法として用いれば，より効率的である。そこで，ピアラーニングについては，他の技法のプログラムそれぞれに複合的に取り入れる。リーディングのプログラムは，長い文章を読むことへの心理的ハードルを下げるステップ1，文章の読みわけを理解するステップ2，長い文章を理解して他者に伝えるステップ3とする。シンキングのプログラムは，考えること自体への心理的ハードルを下げるステップ1，発散的な思考と収束的な思考を理解するステップ2，抽象的な思考を理解するステップ3とする。 ライティングのプログラムは，他者の文章を添削・批評するステップ1，文章を書いて相互批評するステップ2，パラグラフ・ライティングを理解するステップ3とする。総合のプログラムは，講義全体と各講義回のマインドセット等を行うステップ1，学部等での研究と将来へのマインドセット等を行うステップ2，共通入門科目での学びのふり返り等を行うステップ3とする。
