千葉商科大学の基盤教育機構における共通入門科目がどうあるべきか,という問いについて,検討を行う。第一に,検討の前提となる「新しい概念の教養教育」について,第三次諮問,学生,学部,社会の4方向から検討する。専門的な分野に捉われない幅広い分野での学びと,問題発見・解決能力の育成について,高校までに修得できていないとの前提で,丁寧に行うことと解釈している。第二に,共通入門科目に求められる要素について検討する。学びのための基本的な技法とその意味合いが求められるとの認識を示している。前者は,読解力,論理的な思考,文章構成力,先行研究の読み込み,他者との協働のことである。後者は,職業的レリバンスとラーニング・ブリッジングのことである。第三に,学びのための基本的な技法の社会での意味合いについて,行動科学を補助線として考察する。学びのための基本的な技法は、失敗から絶え間なく謙虚に学び,多様な考えを有する他者と協働できる能力の形成として,社会で「役立つ」ことを明らかにした。共通入門科目では,講義や他のカリキュラムの丁寧な設計と社会における「役立ち方」を伝えることが求められる。