「帝国の射程」と題されたインスブルック大学と筑波大学を中心とする国際ワークショップにおける報告。前420年代半ばに発布された「クレイニアスの決議」に記載されたデロス同盟の貢租徴収手続きの際に使われた印章(symbola)の実態を探るとともに、帝国行政における印章の使用というアイディアが、アケメネス朝の行政に対する知識をどれほど参照した可能性があるかを考察した。アケメネス朝=ペルシア帝国の射程がアテナイを中心とするデロス同盟にまでおよんでいたことを印章の使用という側面から論証しようとしたものである。