Examining the process and factors from feeling frustrated with learning to overcoming ―Qualitative research using M-GTA based on retrospective interviews with current university students―

本研究の目的は，児童生徒の学びのつまずき感から克服に至るプロセスと各要因について探索的に検討することであった。大学生を対象にインタビューし M-GTAを用いて分析し，学びのつまずき感から克服に至るプロセスと各要因に関するモデルを構築した。その結果，つまずき感の生成要因として，特定教科への抵抗・先入観，授業形態への不満，適切ではない学習方法，学習内容の未定着，学習回避・学習不足が相互に関連しあって作用していることが明らかになった。また，つまずき感の克服要因として，学習内容の必要性・重要性の自覚，基礎の取りこぼしの自覚，新たな教科との出会いと自信，尊敬できる教員との出会いが相互に関連しあう『転機』や，自ら相談したり，援助を求めたりするなどの『行動化』を媒介として，自助努力・学習方法の獲得．学校や塾からの援助サー ビスがあることが示された。特に自助努力・学習方法の獲得では、「学習方法の体得と学習時間の確保」「自分の言語で内容を理解しようとする姿勢・努力」「全体から捉え直して理解する努力」「わからないことの特定化・明確化」「結論に至るまでのプロセスの十分な理解」をしていることが明らかになった。

千葉商大紀要