総合的な学習の時間は,創設後20年たっても,なお,その取り組み状況において学校間格差が顕著であると指摘されている。そこで,総合的な学習の時間の推進・充実に関する促進要因について,教員の特性に焦点をあてて,探索的に明らかにすることを本研究の目的とした。方法として,教員時代に総合的な学習の時間についての専門性の高い指導を実績があり、かつ本学習について教員を指導・育成経験のある学校管理職等のインタビューをもとに、M-GTAを用いて分析を行った。その結果、本学習について試行錯誤・探求を教科の制約から解放されて実施できるという受け止め方や、他教科とは異なる性質の時間という認識、児童生徒の達成感,生き方への反映の願い、児童生徒の成長・発達に関する教員の識見、創造・開発を楽しむ資質、学習活動進行能力、総合的な学習の時間の指導に特有の指導技術が促進要因になり得ることが明らかになった。