環境マネジメント・コントロールとは,環境戦略の実現や創造(創発・共創)のために,マネジャが他の組織構成員に影響を与えるビジネス・プロセスである。環境マネジメント・コントロールの最大の特徴は,推進プロセスの最終段階としての「企業内外におけるコミュニケーション」にある。本論文では企業外におけるコミュニケーション・プロセスのことを「外部環境マネジメント・コントロール」とよぶ。安藤(2017b)は外部環境マネジメント・コントロールの特徴的なプロセスを「①企業と外部主体のインタラクション→②オープン・イノベーション→③CSV(Creating Shared Value)」と指摘している。本論文では次の段階として,外部環境マネジメント・コントロールの促進要因を明らかにすることを目的とする。筆者は3社の事例分析(日本コカ・コーラ,森永製菓,パナソニック)から(1)「守りのCSV」より「攻めのCSV」の要素が強いほど,(2)環境戦略の射程となる外部環境システムがハイレベル(高次元)になるほど,(3)コミュニケーションのストレスが強いほど,「漸新的イノベーション(Utterback 1994)」よりむしろ「急進的イノベーション(Utterback 1994)」を通じて,多様なCSVパフォーマンスの質的向上をもたらすことを明らかにした。