割引率を1%変更すると年金負債額は20%前後変動すると言われている。そのため、企業にとって割引率をいくらに設定するかは重要な問題となる。本稿では、割引率の選択を巡る国際的な論争(現在の利子率対過去の収益率)、及びわが国企業とアメリカ企業の割引率の選択実態を明らかにした。その上で、過去の収益率を割引率として用いることを容認しているわが国の退職給付会計が隠れ負債の発生可能な構造すなわち粉飾可能な構造を有していることを指摘した。共著:高田敏文、及川拓也 (高田氏より論文の構成、理論展開について指導・助言を受け、及川が執筆した。)