筆者は、アンコール遺跡群の所在地であるカンボジアのシェムリアップに、遺跡の保全・インフラ整備・教育支援・地域人材育成などの推進を目的として1994 年に設立された「アンコール遺跡の保全と周辺地域の持続的発展のための人材養成支援機構:Joint Support
Team for Angkor Preservation and Community Development:JST」(以下、JST)の取り組みを見聞する機会を得た。
そこで、本論では、同組織が手がけている上記の事業のなかでも教育支援・地域人材育成に焦点をあててケース・スタディーを行っ
た。
第1 章ではJST の活動の理念および活動の概要、第2 章ではJST による教育支援・地域人材育成の実際、第3 章ではJST の教育支援・地域人材育成をめぐる背景としてバイヨン中学校の生徒の様相について検討を加えた。