本稿では、次期学習指導要領の改訂が迫りつつあり、今後の公民科教育の方向からある程度見えてきた現状にあって、その方向性を把握するとともに、筆者自身が担当する「公民科教育法」の授業課題を明確化することをねらいとした。
考察方法としては、「次期学習指導要領のこれまでの審議のまとめ(素案)」(2016年8月) を主たる参考資料とした。
第Ⅰ章では、公民科教育の今後の方向性について検討を加えた。第Ⅱ 章では、そうした公民科教育の方向性の背後を探った。第Ⅲ章では、前章までの検討事項を踏まえると同時に、(本稿執筆当時において)公民科分野での新設が想定されていた「公共」の科目の性格や新設の意図にも着目し、その上で、「公民科教育法」の授業課題を見出した。