19世紀のイギリスで、ミドルクラス家庭の子女を主な教育対象としたガヴァネスに関して、社会的・文化的状況と関連づけながら、その教育的意識、取り組みについて考察を加えた。
彼女たちガヴァネスは、真正なレディにも労働者にもなりきれない自らの存在の曖昧さゆえ、社会的地位に過剰反応するあまり、自分自身の職をプロとして果たそうとする認識が乏しく、教職に意義や誇りを持つとか、良質な教授活動を提供すべく研鑚を積み上げるといった姿勢が欠如していたことを確認した。
加えて、彼女たちは、レディの要件とされた たしなみと浅薄な知識しか備えていない場合が多く、指導力においても素人の域を出ず、教育者として問題と限界を孕んでいたことも指摘した。