本論では、Catherine Durning Whetham (1871-1952) の自著:『娘の養育』 (The Upbringing of Daughters,1917)を手がかりとして、彼女の家庭および家庭での養育思想・教育思想に焦点をあてて考察を加えた。
以前の拙論において、彼女が、家庭教育に意義を認め、これを学校教育よりも優位にみていることを指摘しているが、高等教育機関にまで学んだ人物がなぜこうした思想をとるのか、彼女が家庭教育のいかなる部分に意義を見出しているのか、なぜ学校教育よりも家庭教育を優位に評価しているのかさらなる理解を目指した。
第Ⅰ章において、理想的な家庭の創造をめぐる彼女の見解に関して、第Ⅱ章では、家族との生活のあり方をめぐる彼女の見解について、第Ⅲ章において、家庭生活、および家庭での養育をめぐる彼女の見解に関して検討した。そして、これらの検討内容を踏まえ、第Ⅳ章では、彼女の家庭、および家庭での養育をめぐる思想の特徴を指摘するとともに、上記の疑問点についての考察も加えた。