本稿では、公民科教材をめぐる考察の一環として、新聞の教材価値、および、授業教材とし ての新聞活用のあり方に関して検討することをねらいとした。
その背後には、公民科教員免許取得を目 指す学生たちに向けて、授業で新聞を教材として活用する際の指導力の向上を図る、との目的意識 もある。
考察方法としては、筆者が担当している「公民科教育法」・「公民科教材論」双 方での取り組みに基づいて、検討を加えた。
第1章では、公民科で新聞を授業教材とすることの意義に関して検討した。第2章では、学生の窶蔀 新聞をはじめとする時事情報のアクセスの実態について、アンケート 調査を手がかりとして明らかにすることを試みた。第3章では、「公民科教育法」・「公民科教材論」 で進めている新聞記事を授業教材として活用することを想定した取り組みの概要・意義・問題点を 示した。終章では、主権者教育・政治学習における中立性の確保という観点からも若干検討を加えた。