本論では、イギリス19世紀末の女性を対象としたカレッジやそこでの生活がいかなる教育的機能を果たしていたのか、その輪郭を描き出すことをねらいとして教育史的考察を加えた。
まず、女子高等教育機関の1つであるニューナム・カレッジ(Newnham College, Cambridge,以下ではカレッジと記述)での1890年前後の教学をはじめとする制度について検討した。
次に、当時のカレッジに在籍した学生であるキャサリン・ホルト(Holt, Catherine Durning ,1871‐1952)に対象を絞り、彼女の学生生活を糸口に、カレッジが備えていた教育的機能をめぐって考察を加えた。