執筆した箇所は、第11章:「マララ・スピーチからみえてくること」(pp.217-34)。
本稿では、マララ・ユスフザイ(Malala Yousafzai,1997-)の2つのスピーチ(2013年の国連総会での演説、および2014年のノーベル平和賞受賞での演説)をめぐる背景に関して考察を加えた。
スピーチの背景を考察の対象としたのは、マララ氏がなぜ教育を享受する権利・自由・平和を求め、命を賭してまでの行動に突き動かされるのか、という疑問を解く鍵になると考えたからである。
そこで、まずマララ氏の生育環境を確認し、次にスピーチの地理的・歴史的・文化的背景に関する検討を加え、さらにスピーチがなされた前後の時期の国際社会の動向について言及した。
その上で、上記の疑問に対する答えを、①マララ氏の故郷が抱える地理的・歴史的に特異な事情、②パシュトゥン人としての民族的精神性や文化、に求めた。
他の執筆者は、村知稔三・佐藤哲也・鈴木明日見・伊藤敬佑 等。