情報化社会が高度化する中で我々の人的交流はIT化に委ねられた一面を持つ。実際、ITツールは高度化し、簡易化を実現した。しかし、その高度化した情報ツールが人的交流を具現化するコミュニケーションツールとして機能しているかといえば疑問の余地がある。
というのも、伝達が文字によりスピード化されることでより人的関係性が表層的になってしまった。これは、情報化社会が持つ華やかさだけに目を奪われた結果であり、言い換えれば、情報ツールの物的部分にだけ注力し、心的側面をおざなりにしてきた結果、生じた現象でもある。
本論文では、こういった情報化の高度化が実は人的関係における場の持つ本来の作用を無機能化させているといった事実論じた。場についてその端緒となるマクスウェルから歴史的に着目し、ホワイトヘッドの「抱握」に依拠することによって、場の考えを昇華させ、バーナードの「協働システム」へと論を展開した。これによって場の考え方を具現化し、その人的関係が持つ場の効力を有機体論的システム論をもって結論とした。