先行報告(Sakai et al.,2008;Ohno et al.,2008)においては,自己効力感や自律性だけでは英語の能力に結びつかないが、学習時の認知的方略(ストラテジー)によっては,英語能力を高める可能性が示された.そこで本研究では,質問紙によって自己効力感・自律性・認知的方略の使用について調べ,それらが英語の能力とどのような関係にあるのかを検討した.その結果,ある種の認知的方略(繰り返し)は自己効力感を高めるだけで,英語の能力を高めることには寄与しないが,メタ認知的な方略については,自律性の高い被験者群でのみ,英語の能力を高めることが分かった.従って英語能力の低い学生に対しては,自律性を高めるだけでなく,メタ認知的な学習方略をとらせることで,状況が改善する可能性がある.