財務報告の目的と会計システムの間の因果関係─現状の問題認識─
本稿の目的は,意思決定有用性を財務報告の所与の目的として受け入れ,「財務報告の目的を満たすための手段」として会計システムを捉えることで,現行の会計が解決する必要のある問題点を析出することである.検討の結果,将来の利益や資本コストの推定という段階で財務報告の目的と会計システムの間の理論的関連が不明確になることと,そのことが会計基準設定過程において看過し得ない重要な問題であることを確認した.
一橋商学論叢
第14巻