琉球弧・八重山諸島における通耕実践と生態資源利用 : 19世紀末期から20世紀初頭における「高い島」と「低い島」との往来をめぐる事例
本稿は、生態史の枠組みから、八重山諸島の遠距離通耕を把握することを目的とした。本稿では、史料の記述・分析を通じ、「低い島」の住民は、自然環境及び利用できる生態資源の偏在に対応するために、「高い島」において水稲耕作地だけではなく各種地目を共同で所有し利用してきたこと、通耕実践が環境収容力の拡張を目的とした水平統御の資源利用戦略であることをあきらかにした。
国立民族学博物館研究報告