本論では、製品開発戦略の視座から地場産業型の産業集積地域を対象として、多種多様な業種構成と多機能を備えた新しい生産ネットワークを構築する理論的枠組みの一端を提示している。最初に、産業集積研究を整理したうえで、期待利益の大きく、かつ、変容を迫られている企業群を絞り込むために適している「共通性に着目するアプローチ」を支持している。次に、von Hippel[1991]、小川進[2000]の位置づけている「イノベーションの担い手」を支持したうえで、地場産業型の産業集積地域におけるイノベーションの方向性の一つを製品開発戦略の観点から提示している。