目的は、個別の中小製造業の経営展開を対象に、直接的な生産工程以外で価値を産出する要素の仮説的概念の提示を試みることである。考察の結果、2点の結論に至った。1点目は、サービス的要素の受容とサービス的要素の提供は、J. Pfeffer., G. R. Salancikを源流にした理論、港氏の理論、および、中小企業研究の研究蓄積を基盤に解釈できる。2点目は、サービス的要素の仮説的概念であり、「企業を顧客とした完成する有形財に直接的、間接的に紐づいた無形財であり、発注企業に対して価値の交換、提供をする行為」と位置づけた。