消費者行動の研究領域において、消費者の感覚経験に焦点をあてた研究が進められている。消費者の感覚経験に関する研究は、一種類の感覚を扱った研究から、複数の感覚を扱った研究に発展している。しかし、複数の感覚を扱った研究について全体を俯瞰したレビューは行われていない。そこで本研究では、消費者行動およびマーケティング関連のジャーナルを対象としたレビューを行うことにより、消費者の多感覚経験に関する知見の整理を図った。先行研究を五つのグループに分けてレビューした結果、研究の発展に伴い、多感覚経験が消費者行動に及ぼす影響に関する検討だけでなく、影響が生起されるメカニズムを説明しようとする取り組みへと変化していることなどが明らかになった。最後に、レビュー結果をふまえ、今後の検討すべき重要な課題を論じた。