学会発表「〈漂泊〉と〈定住〉の交響史――四国遍路のクロス・ナラティヴ研究」
第1回早稲田社会学会・三田社会学会合同研究例会(第40回早稲田社会学会研究例会)(於:早稲田大学)
博士論文でまとめたこれまでの調査・研究の知見の概要を、語りの音声やフィールドで撮影した映像の上映を交えて発表した。遍路と四国の地域住民は偶然出会う見知らぬ者同士でありながら、それぞれの縁の喪失経験の傷をクロス・ナラティヴズとして重ね合わることで、自身の物語に新しい意味を付与し、四国遍路という「語りとイメージの集合体」のなかで生活構造の全体を再構築していた。この「縁切り」と「縁起こし」の弁証法こそが、人間再生の社会的場としての四国遍路の核心であった。