本報告では,景気循環の安定性と最適通貨圏の条件との間の関係性に着目する。特に,経済の開放度の条件を満たすことが景気循環に与える影響を分析する。その結果,資本移動の度合いの高まりは景気循環の不安定要因となる一方で,経済の開放度の高さや反景気循環的財政政策は景気循環の安定要因となる。さらに,経済の開放度が高くなることは,経済ショックが非対称かどうかに関係なく,安定要因となる。その結果,最適通貨圏条件の一つである経済の開放度条件を満たすことによって,産業の地域的集積に起因する非対称的ショックにも対応できる。