グローバル化とはどういう理解なのか
COVID-19のパンデミックによって一時的に国境閉鎖はあったが、ワクチン接種の普及とともに、東京オリンピックが開催されたりして、グローバル化(globalization)は、息を吹く返しつつある。今回のCOVID-19のパンデミックは、ワクチンの開発や供給において国を超えての協力が欠かせないことを示した。
ここでグローバル化という現象が与える影響について考えてみると,ボーダーレス化による物,人,知の交流が拡大して,相互作用することであるといえる。そして,この流れは技術革新が続く限り止まることはない。日本の社会のいろいろな局面にも押し寄せてくる。その波が早く来る分野とゆっくり来る分野がある。しかし,全体的には,遅かれ早かれグローバル化の波に飲み込まれ,生活様式や意識の変容が迫られることになる。我々が指導する学生はすべからく我々が住んでいる社会よりもグローバル化した社会に生きていくことになる。そのような社会では,文化の違う人を理解する能力が必要であろう。本稿では,その異文化理解能力を養成する教育を行うにはどのような条件が必要なのか考察する。
まず,現在の私たちの生活や教育に影響を与えているグローバル化とはどのような現象なのか定義を確認しておこう。コトバンクで調べてみると,『知恵蔵』では,「交通機関の発達による国境を越えた人々の移動,政治経済分野における国家関係の緊密化により,様々な領域の問題が多くの国を巻き込んで地球規模に拡大している事態を表す」とある。『デジタル大辞泉』の解説では,「国家などの境界を越えて広がり一体化していくこと。特に,経済活動やものの考え方などを世界的規模に広げること」とある。『百科事典マイペディア』は,「物事が地球規模に拡大発展すること」と記載している。『大辞林 第三版』の解説は「世界的規模に広がること。政治・経済・文化などが国境を越えて地球規模で拡大することをいう」である。共通するのは,問題や物事が地球規模に拡大するという記述である。