本稿は,EFRAG による公表物にみられる議論を手掛かりに,金融商品とりわけ資本性
金融商品に係る減損について整理を行い,予備的な検討を行っている。IFRS9 においては,
「公正価値の著しいまたは長期にわたる下落」を減損の客観的な証拠とする場合,主観的
または複雑な会計処理をもたらすことになるため,資本性金融商品について減損は適用さ
れてなかった。それに対し,EC から要請を受けたEFRAG は,資本性金融商品に係る減
損について検討を行い,EFRAG(2018)およびEFRAG(2020)を公表した。EFRAG
における議論では,これまでの金融商品に係る減損の議論においてみられなかった減損モ
デルや論点について議論が行われた。本稿では,それらの議論の中から,特に(1)戦略
投資目的の資本性金融商品,(2)減損とリサイクリングの議論について取り上げ,予備的
な検討を行っている。