本論文は、近年における貧困率・捕捉率・ワーキングプア率を、都道府県別・年代別に比較検討する。分析の結果、概ね関西以西の府県、青森県、北海道で貧困率・ワーキングプア率は恒常的に高い地域となっているが、両数値の地域間格差は、日本全体で見ると近年、高位平準化の方向で縮小している。このことは、貧困問題が特定の地域における問題から全国的な問題として拡大していることを示している。しかし、生活保護制度の捕捉率は、捕捉率の上位地域と下位地域で共に低下しつつある中で、捕捉率の地域間格差が拡大するという憂慮すべき事態になっている。