学会報告「自動車産業における請負労働」
日本労務学会第36回大会:愛知学院大学
私は自動車企業IM社にて約50日間にわたり参与観察を行った。生産現場では、「知的熟練」の主要部分を非正社員のリリーフに担わせ、より多数のライン労働を行う非正社員には単純作業に徹する垂直的分業構造を形成していた。この分業構造により、従来ライン労働者に必要とされていたはずの「知的熟練」の主要部分は消失した。これらの事実は、正社員のライン労働者の「知的熟練」の高さが、日本企業の国際競争力を支える源泉であったとする小池和男氏の主張が、現実と合っていないことを示している。