非正社員の問題は、これまで民間企業における問題とされてきた。しかし、近年、国や地方自治体の職場でも多くの非正社員が活用されていることが知られるようになり、「官製ワーキングプア」という言葉まで使われるに至っている。 そうした中で本書の意義は、何より学術書として早期にこの問題を直接取り上げて検討している点である。さらに本書は、国・自治体の非正規問題について、その歴史や雇用条件、労使関係、法律関係、公共性を巡る議論など、幅広い領域を扱っている。本書を一読すれば、当問題を一通り理解できるような仕組みになっており、非常に有意義である。