本稿では、青色申告承認取消処分に係る裁量判断の統制のあり方や裁量権の踰越・濫用の争い方を検討する際の参考となる横浜地裁平成17年6月22日判決(税資255号順号10060)を研究する。同判決は、税務署長における承認取消処分に係る裁量権の踰越・濫用の有無を審査するに当たり、①裁量権の行使のあり方・限界を提示し(裁量権の行使に係る「考慮要素」をリストアップし、「判断の観点」を明示し)、かつ、②考慮要素の選択を含む裁量権行使の意思決定過程・判断過程に照準を合わせる審査方式を採用し、もって密度の高い審査を実現し、税務署長に委ねられた裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったという結論に到達している。