租税行政の現状を見るに、租税行政庁が制定する政令や通達の内容が租税法律主義に適合するように、「事前(基本的にはその制定前の」統制を徹底する必要がある。もっとも、政令や通達の存在そのものを批判したり、租税行政庁が政令や通達を用いて租税行政を執り行うこと自体を批判したりすることは必ずしも妥当ではない面がある。むしろ、政令や通達における租税法律主義適合性を確保することで、それぞれの有用性を高め、ひいては国民の権利利益を保護するといった建設的な議論の醸成が求められる。本書は、租税行政庁が制定する政令や通達等の内容が租税法律主義に適合するように、「事前の」統制を徹底する必要があるという問題意識の下に、租税に関する政令や通達等の統制手段の1つとして、行政手続法所定のパブリックコメント制度を改善し、積極的に活用することを提案する。 |