本研究は,学級内のグループ間に地位格差が生じる現象(「スクールカースト」)に着目し,教員がこの現象にどのような対応が重要であるかを探索的に捉えることを目的とした。調査にあたっては,大学生を対象にインタビューし,M―GTAを用いて分析し,「スクールカースト」の発生・進行・現象化,または未然防止・低減・解決等に至るプロセスと各要因に関するモデルを構築した。その結果,多様な生徒で構成されている学級において,教員が階層化の兆しや進行を認識するかしないか,認識したとしても,その後に教員がどのように動くかが,「脅威的階層性学級(スクールカースト)」に影響を与えることが明らかになった。『階層化への不認識』や『階層化への認識』がありつつも,『介入・指導回避』,『階層化を助長する対応』が、『脅威的階層性学級(スクールカースト)』につながり,一方、『階層化への認識』の有無にかかわらず,教員の『居場所と絆づくりの学級経営』や、『階層性の発生防止・介入』が、『安心で健全な学級』につながることが確認された。一方、教員の介入や指導が効果的になされなかった学級では,『脅威的階層性学級を乗りきる自助・共助』努力をして乗り越える生徒もいることが確認された。