本論文は,青年期に抑うつを訴える傾向が高いと指摘されていることから,抑うつと相関の高い不安を取り上げ,高い不安を感じている生徒の存在を明らかにするとともに,教師が見過ごしがちな生徒の傾向を明らかにすることとした。「学校適応度」尺度を作成し,この上位群と下位群の生徒の不安測定検査(CAS)の結果をt検定を用いて検討した。その結果「学校適応度」下位群の生徒は有意に不安が高いことが明らかになった。また,「学校適応度」上位群の生徒は,教師の認識との一致が高いのに対して,「学校適応度」下位群の生徒は,教員が学校適応していないと認識している下位生徒と15%しか一致していなかった。このことから,教師の認知だけでは,認識しにくい生徒の中に不安が高い生徒が存在することが明らかとなった。