本稿は、設備投資および減価償却を「費用の蓄積性」という観点から再検討し、その時間構造を理論的に明らかにすることを目的とする。従来の会計学では、減価償却は取得原価の期間配分手続きとして理解されてきたが、本稿はその背後に存在する有形固定資産の時間構造に着目する。まず、費用を即時消滅型、金融資産型、有形固定資産型の三類型に分類し、有形固定資産のみが企業内部に蓄積されつつ時間とともに劣化するという特殊性を示した。さらに、有形固定資産は価値減少の帰結として将来の更新需要を不可避的に発生させることを明らかにし、設備投資を単発の意思決定ではなく反復的な時間構造として捉え直した。この視点から、q理論における時間構造の非対称性、投資理論における更新概念の欠落、会計理論における期間配分と更新原資確保との乖離を指摘し、設備投資の特殊性を時間構造の観点から再定位する理論的視座を提示する。