包括利益の導入を巡る諸問題~企業の真の「利益」とは何か~
国際会計基準理事会(IASB)は「包括利益こそ企業の業績である」という前提のもとで単一の業績報告計算書の導入を目指している。その現在の様式案は、わが国のアンケート調査や実証研究で本来投資家が重視するものとして裏付けられた「純利益」の概念を放棄するものとなっており、法人税法上、尊重に値しない会計基準がわが国に導入された場合、確定決算基準の放棄か同基準を非上場企業にのみ適用する法人税制の二元化の措置が必要である。
財政経済研究月報
第51巻第1号1~12