最高裁判決にみる法人税法の「公正処理基準」の意義と要件-大竹貿易事件とエス・ヴィ・シー事件の検討を通じて-
法人税法22条4項に規定する公正処理基準による取引の認識要件につき、代表的な2件の最高裁判例を分析した結果、①「公正」の意義は手続的正義の実現に求められることから、公正処理基準は最終的に重要な利害関係者たる国家の判断・追認がなされなければならないこと、②「公正な所得計算」を企図する同法の趣旨・目的から、収益については「確実性」・「客観性」・「継続性」・「合理性」が、経費については限定的な「取引の合法性」がその認識要件となることを論じた。
千葉商大論叢
第54巻第1号28~48