その他

基本情報

氏名 安藤 崇
氏名(カナ) アンドウ タカシ
氏名(英語) ANDO, Takashi
所属 商経学部
職名 教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

翻訳書、学会発表、講演、作品等の名称

内部環境マネジメント・コントロール・システムの基底:マズローの欲求階層説にもとづく理論的検討

単・共の別

単著

発行又は発表の年月

2025/10

発表学会等の名称

 第20回国府台学会(千葉商科大学)

概要

近年若年層労働者の早期離職が社会問題となっている。一方でGRI(Global Reporting Initiatives)等の定義においても、社会環境課題に取り組む企業は持続可能な組織として捉えられることが多い。本報告の目的は、企業構成員の環境モチベーションの内容を明らかにすることを通じて、社会環境課題に対して取り組む企業がなぜ持続可能性が高いといえるのかを理論的に明らかにすることである。方法は主に文献サーベイであり、一部インタビュー情報で補足を行った。
 利他的な経営(ここでは社会環境経営)やその職務は、通常と比べて時間的・空間的に拡張する性質を持つといえる。さらに個人レベルで検討すると、構成員の職務に社会環境課題を加えると、構成員は通常の業務を社会や地球環境といったより上位システムと関わらせて捉えることにつながる。そのため通常業務の持つ意味や社会的な役割、全体における位置づけに対する理解が、構成員に促されることになる。そうすると構成員個人も仕事の「働きがい」をより広い文脈で捉えることができる(空間的拡張)。
 一方で成長欲求にもとづくモチベーションは、Maslow(1954)の指摘するように上限もない(時間的拡張)。そのため所属する組織が個人の成長欲求を長期的に満たし続けるならば、構成員はその組織に所属し続ける可能性が高い。組織が全社的にかつ長期的に社会環境課題に取り組むことを通じて、多くの構成員の成長欲求を満たし続け、構成員も仕事の「働きがい」を通じて成長を実感し続けることができれば、組織の持続可能性は高まるといえるだろう。
 本稿の貢献点は、①社会環境経営に取り組む企業がなぜ持続可能といえるのかについて理論的に明らかにした点と、②環境モチベーションの具体的な内容について明らかにした点の2点である。本研究の含意は、本能(欲求)と理性(意図・意思)の調和の重要性にある。Maslow(1943;1954;1971)の欲求階層説に関する一連の業績は、人間の本能的な欲求について明らかにしたが、企業の社会環境経営には、理性的・戦略的な側面もある。この点に関してはFrankl(1947;2005)の一連の理論をふまえて今後さらに理論的な検討を進めていくことが今後の課題の1つであると指摘した。

担当授業科目1

担当授業科目2

担当授業科目3