本書は、流通論の理論を基礎に、商業・マーケティングの性格付けとその解説を行い、実効性を伴った流通政策の在り方について考察している。流通という学問は主に商学に属し、政策は法学を基盤にすることから流通政策は学際的な領域である。流通政策は、その学際的な領域であり且つ商学と法学の性格は異にすることから、整合性をとることが非常に難しいといえる。それは、法は安定性を志向する領域である一方、流通は変化を受け入れ効率性を志向する領域といえるからである。これまでの流通政策を対象とした著作の多くは独占禁止法を基礎に展開されたものであり、現実の流通を考慮せず展開されていることが多い。このような法解釈を中心とした流通政策が現実社会於いて展開された場合に、我が国流通経済の成長を著しく阻害するおそれがあるといえよう。このような流通論からみた流通政策の在り方を考察したものが本書の特徴であるといえる。