わが国では、中小企業数の大幅な減少、休廃業・解散件数の高止まりの状況の中、中小企業経営者の高齢化が進展し、2020 年頃には、団塊世代経営者の大量引退期の到来が見込まれ、後継者確保難に伴う中小企業の大廃業時代到来による社会への影響が懸念されている。
中小企業の事業承継支援施策は、今までに平成18 年度の「事業承継ガイドライン」作成等から始まり、その後、親族内承継支援、従業員や第三者による親族外承継支援、後継者が不在等の場合のM&Aを活用した事業引継ぎ支援の施策が年々拡充されてきていた。しかしながら、中小企業経営者の高齢化の加速とそれに付随する膨大な数の後継者確保難の深刻化の進展にとても対応しきれない状況にあった。
こうした中で、国は平成29 年7月に事業承継5ヶ年計画を策定し、平成29 年度から平成33 年度までに、中小企業の事業承継に関する集中支援を行うこととした。従来の事業承継支援施策との大きな相違点は中心となる支援主体にある。それまでの国の事業承継支援施策の、中小企業基盤整備機構に置かれた全国事務局を中心とした全国的な集中支援型から、都道府県単位の地域支援機関のネットワーク・プラットフォームを中心とした地域分散支援型に平成29 年度から変更がなされた。何故ならば、5年間で25 万〜30 万社を対象にプッシュ型の事業承継診断を行い、後継者不在等の場合のM&Aによる事業引継ぎ支援を年間2,000 件行うことなどにより、現在の大廃業時代の到来の懸念という深刻な状況に対処するためには、地域支援機関の総力を結集することが不可欠であったからである。