本報告では、イギリス産業革命期において伝統的な技能を用いて生産を行う「手織工」と呼ばれる職業に関し、その経営形態についての考察結果を述べるとともに、自身の今までの研究について紹介した。「手織物工場」という経営形態が,「問屋制下での小さな仕事場・家内工業」と,そして「動力機械を用いた生産を行う近代工場」と,どのような点が類似し,またどのように相違するのか,をより深く追求していくことで,近代資本主義の萌芽の実態を明確にしていきたいと思われた。そして,「伝統的な生産様式」と「動力機械を用いた生産」の併存が産業革命期の経済的変化に果たした役割をより今後より深く追求していきたい。