本稿は,会計リテラシー教育導入の困難性について複式簿記の弊害が要因であることを明らかにした。また,会計リテラシー教育導入の困難性により生じる社会的な問題として,企業における新しい雇用形態の導入からすべての従業員が複式簿記により作成した会計帳簿から財務諸表を作成することが求められることも明らかにした。新しい雇用形態が導入されれば,正規雇用の従業員は,契約を解除され業務委託契約という契約形態から個人事業主として業務を遂行することになる。個人事業主になれば,自己責任のもと,事業の財政状態及び経営成績の把握,税務申告,資金管理を行わなければならないため,これらのデメリットを解決するためには,複式簿記による会計帳簿から作成した財務諸表が必要になる。(20-23頁。)