本稿においては、海外勤務の源泉徴収実務について、二重課税となった場合の対応法を「短期滞在者免税」制度を中心に、「日本人の海外赴任」と「外国人が日本で勤務する際」に分けて検討した。現行の日本においては、更なる二国間租税条約の拡充、また国際的には、多国間税務行政執行共助条約及びBEPS防止措置実施条約の更なる拡充が必要である。なお、居住者の定義については、日本においても国際的にも多く採用されている「183日ルールを導入」し、シンプルな基準により、「居住者と非居住者の判定」を行う方法に改正するよう、法的安定性及び予測可能性の見地から本稿において提言している。