『国際租税法－概論－』

本書では、国際租税法とは国際取引に対する租税に関する法をいう。これには実体法、手続法及び争訟法が含まれる。これは、主として各国の国内法であるが、二国間租税条約及び多国間租税条約などの国際法を含む。一部の学説は、国際租税法を「各国の課税権の競合を調整する一定のルール又は複数国で課税権の対象となり得るような国際取引に対する各国の課税権の行使及び複数の課税権の調整に係る租税制度」と定義するが、この定義は極めて狭いもので、これに従えば、例えばタックス・ヘイブン対策税制などは範囲外となるので、現実に合わない。現代の国際租税法には、国際的二重課税の排除など単なる課税権の競合の調整を超えて、国際的な脱税及び租税回避の防止に関する国内法及び国際法が含まれる。

大蔵財務協会