本論文で研究した国際的二重課税の排除方法については、OECDモデル条約第23条は(A)国外所得免除制度と(B)外国税額控除制度の選択肢を認めている。日本は国内法において外国税額控除制度を定めていることから、これを踏まえた租税条約における国際的二重課税の排除方法も、外国税額控除制度を採用している。日本では、判例もあるが、学説では外国税額控除制度は法人税法及び所得税法の本法に規定されており、租税特別措置法に規定されていないため政策税制ではないという説もある。しかし、アメリカでは資本輸出中立性と資本輸入中立性のいずれかを重視した国際租税法がアメリカにとって有益であるかという命題のもと、外国税額控除制度か国外所得免除制度かを政策決定することが重要な課題とされている。そこで、本論文研究では、今日の日本における最適な国際的二重課税の排除方法を検討し、立法政策論により外国子会社配当免除制度へ転換した場合に係る税制上の整備を研究した。