(2021年12月発行予定)(査読済み)
共著者:Noriko Shibata, Chen Sihong, Akira Nagamatsu, Soh Sakurai
担当箇所:「4.Verification of hypotheses」
コモディティ化が進む市場では、差別化による独自の価値提供が今日的課題である。中でも日本の茶系飲料市場は、消費者の高まる健康志向に対応して成長を続ける一方で、コモディティ化が進んでいる。多くの茶系飲料メーカーは、健康志向に対応した機能性訴求と、差別化したパッケージによって競争的優位性を創りだし、脱コモディティ化しようと努めている。とりわけ茶系飲料は、内容物での差異を知覚しにくいため、パッケージによって消費者の知覚に働きかけ、商品選択時の大きな誘因(判断材料)とする。
そこで本研究は茶系飲料を対象として、パッケージデザイン変更方法が販売数量に及ぼす効果の比較、および、機能性という製品タイプを考慮したパッケージデザイン変更による効果の差異について仮説検証した。実売データを用いた分析の結果、次の2つの結果が示された。茶系ペットボトル飲料において、①他のパッケージデザイン変更方法と比べ、「期間限定パッケージによるラベルデザイン変更」が、販売数量に対して最も正の影響をもたらす、②パッケージデザイン変更は、非機能性茶系飲料の場合に販売数量に正の影響をもたらし、機能性茶系飲料においては販売数量に影響をもたらさない。この知見は、脱コモディティ化手段として、短期的販売促進を目的とした今後のパッケージデザイン戦略に対し、有益な示唆を与える。