本研究では,豪雪地帯における探索的シナリオプランニング(XSP)を通じた地域的な気候変動適応のプロセスについて示唆を得るため,滋賀県高島市朽木地区を対象に対話を通じた因果ダイアグラムの作成とシミュレーションを通じたプロセスを設計して得られた結果を分析した。その結果,シミュレーションを通じて将来における社会的影響として「追加的公助」を構造化できたことに加えて,共助の活発度や降雪パターン,集住度合いに応じた予測による適応策への示唆を得た。XSPにおいて不確実性を参加者間で共有し,クリティカルな不確実性を同定していく上で,対話とシミュレーションの相互作用を通じたプロセスを設計することが不可欠である。