本研究の目的は,先行研究で提示された,社会的課題解決を目的としたセクター間協働
の発展プロセスモデルの妥当性を検討することにある。
地域活性化のための行政・事業者・NPO・大学などによる協働に,大学生による
Project Based Learning(PBL)として参画し,「プロジェクトパートナーとの協働プロセ
スにおける現在位置とは」という問いを立てた。2018 年以来継続中の長期的 PBL 活動の
一環として 2023 年度 PBL 活動を実施しつつ,設定した仮説の検証を行った。その結果,
当該モデルにおけるセクター間協働の「生成段階」「実行段階」「進化段階」の進み方と参
画組織間の連結の「未形成」「組織レベル」「制度的レベル」の進み方にズレが生じること
が見出された。検討により本モデルの修正が必要であるとの結論が得られ,併せて修正の
ための 2 つの論点が次の通り見出された:長期的な協働の発展プロセスモデルの中に短期
的プロジェクトの並走および積み重ねが含まれること,参画組織の連結の発展段階につい
ては長期的な協働と短期的プロジェクトとでは別々に検討することが適切であること。
これら 2 つの論点を踏まえ,修正版モデルの提示に向けてさらなる実証研究が必要となる。