日本では少子高齢化の進展に伴い高齢者分野において、家事支援などの生活上のニーズに市民が助け合い活動として取り組むうちに、1980年代に謝礼金という金銭を受け取る「有償ボランティア」がうまれた。いまではまちづくり、子育て支援、教育、環境などさまざまな分野でも展開されているが、その位置づけについてのコンセンサスは得られていない。本稿では先行研究に基づき、課題として無償性と有償性の概念的コンフリクト、有償ボランティアの労働者性、会計的な持続可能性確保の難しさ、国家による保障の引き下げの4点を示し、可能性として利用者と支援者の対等性確保、活動参加および継続の促進、利用者および支援者の多様性確保の3点を示している。そして有償ボランティアの位置づけの明確化および可能性の最大化のための試論として、有償ボランティアとして実施する生活支援サービス項目の特定と、インパクト評価に基づく認証制度の創設を提示している。